ロケットの基礎知識講座Launch-Vehicle
第2回 ロケットのコスト

こんにちは。ロケット入門講座・第2回となります。ロケットの性能を評価する軸はたくさんあるのですが、まず押さえたい項目は3つ、「コスト」「打上げ能力」「成功率」です。今日はその中の「コスト」のお話です。

ふむふむ、「コスト」は分かるな。要するにロケットを1回打上げるのに必要なお金でしょ?

はい、成功率や性能(打上げ能力など)が同じなら、当然安い方が良いですよね。今回も日本で運用中の主力ロケット、「H3ロケット」を例に解説していきます。

ふむ、そのH3ロケットはいくらするの?

H3ロケットは様々な形態(第1段ロケットのメインエンジン数、補助ロケットの数、フェアリングの大小の組み合わせ)があり、それにより打上げコストが変わります。
詳細な打上げコストは非公開ですが、一番小さなH3-30S形態で50億円(量産時の目標値)、一番大きなH3-24L形態で大体100億円前後(*)と推測されています。(*:筆者推定)

高っ!凄い高価なものなんだね・・・・・・

はい。ロケットは巨大で、軽量かつ頑丈さを両立させる高度な技術が詰め込まれた乗り物で、とても高価になります。
ちなみに日本が1990年代に運用していたH-IIロケットは190億円程度。2001~2025年に運用されていたH-IIAロケットは、形態にもよりますが大体85~120億円程度と推測されています。これでも安くはなってきているんです・・・・・・

ロケット打上げ費用は、どうやって安くするのか?

色々ありますが、例えば部品点数を少なくするという手法があります。設計次第ではありますが、一般的に部品が少ないほど、組立や検査が簡素化され、低コスト化しやすくなります。

あと重要なのは、とにかく沢山作って沢山打上げることです。ロケット製造・運用には、打上げ回数にかかららずかかる固定費の部分と、打上げの度にかかる変動費があります。
打上げ回数が多ければ多い程、固定費を多くのフライトで割れるので、結果的に1回あたりの打上げコストを低く抑えることが出来ます。

なるほどね。

ただそれ以上に覚えておきたいのは、近年は使い捨てのロケットだけではなく、再使用型ロケットが登場してきていることです!

2026年1月現在、米SpaceX社のFalcon9ロケットが打上げ業界を席巻しています。このロケットは第1段ロケットを地上、或いは海上で回収して再利用することに成功しています。2025年の打上げ回数を比較しますと、H3ロケットは3回の打上げにとどまっている一方、SpaceXのFalcon9ロケットは165回という驚異的な打上げ回数を記録しています。

165回!再使用型ロケットって凄いんだね。

但しスペースシャトルの例もあり、再使用型にすれば低コストになるという訳ではありません。回収・整備の手間が大きいと、逆に使い捨てにした方が低コストになる場合もあります。SpaceXは第1段ロケットを再使用することのみならず、様々な手段で効率化を図り、ロケット打上げ費用の低コスト化を実現しています。

再使用型だからと言って、全てに優れている訳ではないんだね。ところで日本のロケットは使い捨て?再使用型ロケットはあるの?

2026年1月時点で、日本で運用中のロケットは基本使い捨て型です。H3ロケットも最新型ながら使い捨て型ロケットで、使用されたロケットは全て海上に落下させ、回収はされません。
但し、日本にも官・民両方で再使用型ロケット開発の取り組みがあります。将来の実用化には期待したいところです。

楽しみだね!

ですね!今回は、ロケットのコストについて整理しました。次回は「ロケットの打上げ能力」について解説します。
