ロケットの基礎知識講座Launch-Vehicle
第3回 ロケットの打ち上げ能力
ロケット基礎知識講座、第3回はロケットを評価する上で大事な3つのポイント2つ目『打ち上げ能力』について解説していきます。
よろしく、ポイント3つは確か『コスト』『打ち上げ能力』『成功率』だったよね?
はい、その通りです。では打ち上げ能力とは何なのか?
それは高度100km以上の上空、つまり『宇宙空間』に人や物をどれくらいの『重量』を運べるか?と言うことです。
人や物?日本のロケットは『物』だけではなく『人』も運べるの?
いえ残念ながら2021年現在、日本のロケットで『人』を運べる『有人用ロケット』は安全上の問題から存在しておりません。『H-2A』など日本のロケットは全て『物』を運ぶことができる『無人ロケット』です。
ただいつかは開発されると思われます。開発中の『H-3』ロケットの改良型とかは期待できるかもしれません。
そうか〜、残念だけど仕方ない。将来に期待することにしよう。
で、話を戻すけど前回話していた日本の『H-2Aロケット』は、どれ位の物を運べるの?
『H-2A』は高度200km位の『低軌道』に10トンの重さの物を運ぶ事ができます。
普通乗用車が大体1台2トン、つまり車5台分を運ぶ事が出来ます
10トンか、かなり運べるのだね。
ん、知らない言葉が出てきたね。『低軌道』とはどう意味なのかな?
ここで言う『軌道』とは、宇宙空間にある決められたコースです。『低軌道』(ていきどう)とは比較的に低い位置、つまり地球から近い位置にある軌道です。他にも『太陽同期軌道』や地球からかなり離れている『静止軌道』などが、宇宙開発では使われる言葉です。
詳細は後日解説致しますが、物を宇宙空間の軌道に持って行く事を『軌道投入』と言います。そして軌道によって『軌道投入』できる物の重量が違ってくるのです。
なるほど、10トンの物が運べるロケットと言っても、それが投入される軌道が『低軌道』『太陽同期軌道』『静止軌道』か分からなければ、正しい評価は出来ないのだね。
はい、その通りです。ちなみに『H-2A』は低軌道に10トン、太陽同期軌道に4トン、静止軌道に2トンの物が運べます。
今回は少し難しい話になってしまいましたね。次回はロケット評価のポイント3つ目『成功率』のお話です。