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風神・雷神・長友FuJin RaiJin NagaTomo

風神・雷神・長友とは

「風神・雷神・長友」は日本の宇宙開発ベンチャー企業「スペースウォーカー」社が開発中のスペースプレーンシリーズです。スペースプレーンとは、旅客機の様に滑走して離陸し宇宙空間に到達、その後旅客機の様に着陸する宇宙飛行機です。この3機のスペースプレーンはほぼ同型機ですが、それぞれミッション内容が違います。

「風神」は宇宙での無人実験用スペースプレーンです。機体上部に小型実験装置を搭載して高度150kmまで上昇、宇宙空間で無人実験を実施することが出来ます。「雷神」は風神と同型機ですが、機体上部に小型の使い捨てロケットを搭載しています。高高度で小型ロケットを分離・飛翔させて、低軌道に310kgの小型衛星を投入することが可能です。両機とも初号機打ち上げは2028年が予定されています。

「長友」は風神・雷神と同様の機体ですが、こちらは有人仕様となっています。搭載燃料やエンジン数が減っていますが、パイロット2名・乗客6名の計8名を乗せて宇宙空間を飛行する事ができます。初号機打ち上げは2030年が予定されています。またその前の2026年頃に、試験機「WIRES#15」がドイツで試験飛行を実施する予定です。

LE-8の系譜

このスペースプレーンで注目されるのは、搭載が予定されているメタンエンジンです。ロケットエンジンに使用される燃料には液体水素やケロシンが使用される事が多いのですが、液化したメタンを燃料とする宇宙機用エンジンは燃料コスト・低公害性・再利用性・宇宙空間での低揮発性などが評価されている、次世代ロケットエンジンの1つとされています。

このメタンエンジン開発はIHI(石川島播磨重工業)が担当します。IHIは過去にLNG(≒メタン)エンジン「LE-8」を開発した経験があります。このエンジンはGXロケットへの採用を目指して開発されていましたが、GXロケット開発計画自体が中止されていた為、日の目を見ることはありませんでした。

IHIはLE-8開発終了後もメタンエンジン研究・開発を続けており、それらの知見をもとにスペースプレーン用の推力10トン級メタンエンジンを開発する事となりました。このメタンエンジンは風神と雷神に7基、長友には5基搭載される予定です。

SBIRフェーズ3

スペースウォーカーは文部科学省のSBIRフェーズ3(中小企業イノベーション創出推進基金)の民間ロケット開発・実証フェーズ1に採択され、最大20億円が交付される事が決定しました。研究開発の進捗により最大140億円まで交付が増額される可能性があったのですが、残念ながら2024年9月に実施されたステージゲート審査で補助対象から外れました。

但しそれでプロジェクトが終了する訳ではなく、スペースプレーン開発は継続されています。

UPDATE:2024年10月14日

開発スケジュール

2026年
メタンエンジン搭載実証機WIRES#15テスト飛行
2028年
スペースプレーン風神初飛行
2028年
スペースプレーン雷神初飛行
2030年
スペースプレーン長友初飛行

スペースプレーン雷神の性能と小型ロケットの比較

機体名 雷神カイロスイプシロン
開発国
[運用主体]
日本
[スペースウォーカー]
日本
[スペースワン]
日本
[JAXA・IA]
運用状況
[運用期間]
開発中開発中運用中
[2013年~]
燃料液化メタン固体燃料固体燃料
直径/重量-/54トン1.35m/23トン2.6m/95トン
打ち上げ費用
[推定値]
~5億円10億円(試験初号機)30億円~
成功率-%
[0回/0回]
0%
[0回/1回]
83%
[5回/6回]
打ち上げ能力
[低軌道]
0.31トン
[高度600km]
0.24トン
[高度300km]
1.2トン~
[高度250×500km]
打ち上げ能力
[太陽同期軌道]
-0.15トン
[高度500km]
0.59トン
[高度500km]
打ち上げ能力
[静止遷移軌道]
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備考 2024年10月14日時点 上記は強化型のスペック

主な参考ページ

日本のロケット

日本のスペースプレーン

世界のロケット

ロケットの基礎知識講座