カリストCALLISTO
CALLISTOとは
CALLISTO(カリスト)は、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)・フランス国立宇宙研究センター(CNES)・ドイツ航空宇宙センター(DLR)の3機関共同で実施される再使用型ロケット実験です。この実験は、将来開発が想定される再使用型ロケットの第1段部分に必要な技術データの取得を目的としています。実験に使用されるロケットには、宇宙空間に人工衛星等のペイロードを運ぶ能力はありません。
2024年現在、日本の打ち上げロケットは全て「使い捨て型ロケット」となっています。何度も繰り返し使用できる「再使用型ロケット」は、打ち上げコストを低下させる有望な手段と考えられており、各国で研究・開発が進められています。
この分野ではアメリカのスペースX社が突出しており、再使用型ロケット「ファルコン9」の開発・運用に成功しており、宇宙輸送業界を席巻しています。日本政府は2030年以降に、打ち上げコストを現在の1/10以下まで下げられる再使用型ロケットの開発を計画しています。
RV-X
RV-Xはカリスト計画の為に事前にJAXAが開発する高さ7m・重量2.9トン程の小型ロケット実験機です。搭載されるエンジンは液体水素・液体酸素を推進剤とする再使用型エンジンです。垂直離陸して高度100m程度まで上昇後、垂直着陸を試みます。これらの試験により再使用型エンジン技術や、垂直着陸に必要な誘導制御技術等の獲得を目指しています。
飛行試験は当初2018年度頃に能代ロケット実験場で実施される予定でしたが、実験場でイプシロンロケット燃焼試験での爆発事故もあり開発は難航。幾度かの延期を経て、2025年度頃に実施される予定です。
CALLISTO飛行実験
RV-Xの開発・飛行試験と並行して、より高高度を飛行する垂直離着陸が可能なロケットを前述した3機関共同で開発します。これは高さ14m・重量3.6トン程でRVーXとほぼ同質量の小型ロケット実験機で、空力舵面・着陸脚、そしてRVーXに搭載された液体水素エンジンを1基搭載しています。このロケット自体の名称は不明ですが、このロケットを使った飛行実験をCALLISTOと呼称しています。
CALLISTO飛行実験は、2026年度から南米大陸フランス領にあるギアナ宇宙センターで、マッハ1以下・高度20km以下の飛行領域での実験を合計10回実施する予定です。この実験で得られたデータは今後、次期基幹ロケットや将来宇宙輸送システムが開発する再使用型ロケットに活用されるものと推測されます。