H-2Aロケットエイチツーエー
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H-2Aロケットとは
H-2Aロケットは、日本政府の宇宙開発事業団(その後JAXAへ統合)と三菱重工が共同開発した日本の国産基幹ロケットです。1996年から開発が始まり、2001年に試験1号機が打ち上げられました。
H-2A登場以前には、純国産大型ロケットH-2が開発・運用されていました。H-2は初号機から5回連続で打ち上げに成功したものの、技術的な問題で6・7回目の打ち上げに連続失敗。1回の打ち上げ費用が190億円に達する事から、開発が始まっていたHー2Aへ開発リソースを集中しH-2は退役する事となりました。
H-2が純国産にこだわったあまり非常に高価なロケットになってしまった事を踏まえ、Hー2Aでは一部を輸入品に置き換えるなど様々な工夫を凝らして、打ち上げ費用を半分程度に抑えることに成功しています。
高いミッション成功率
H-2Aは2024年03月現在も現役運用中で、これまでに48回打ち上げられましたが失敗は6号機の1回のみで、成功率97%を超えている信頼性に優れたロケットです。日本の宇宙開発史上、最も成功したロケットと言っても過言ではないでしょう。
H-2Aは2段式ロケットとなっており、1段ロケットには国産開発の『2段燃焼サイクルエンジン』のLE-7Aを1基、第2段ロケットにも国産開発された『エキスパンダーブリードサイクルエンジン』のLE-5Bを1基搭載しています。燃料は液体水素と液体酸素を使用しています。また必要に応じて固体補助ロケット[通称:SRB]を2~4本装着します。
唯一、打ち上げに失敗した「6号機」の失敗原因は固体補助ロケットの分離失敗でした。メインエンジンのLE-7A・LE-5Bは全て想定通りに動作しており、高い信頼性を示しています。
H-2Bロケット
日本は国際宇宙ステーション(通称:ISS)に参加しており、その補給任務の一翼を担っていました。その為、宇宙ステーション補給機(通称:HTV)を打ち上げる必要がありましたが、HTVは16トンもの大質量を高度400km付近まで打ち上げる必要があり、Hー2Aでは打ち上げ能力が不足していました。そこでHー2Aの強化型となるHー2Bロケットが追加開発される事になりました。
H-2BはHー2Aの第一段部分を4mから5.2mへ拡大し搭載燃料を増大させ、メインエンジンLE-7Aを1基から2基に増強したロケットです。Hー2Bは全部で9回打ち上げられ、その全てに成功しました。9回のHTV輸送ミッションを完遂させ、2020年にHー2Bは退役しました。
退役と次期基幹ロケット
H-2Aロケットは今後50号機の打ち上げを最後に、生産終了・退役する予定です。Hー2Aは打ち上げが続く中で様々な改良が加えられましたが、発展著しいロケット市場の中で陳腐化が避けられなかったためです。現在、Hー2Aよりさらに低コスト・高信頼性を追求した「H3ロケット」が関発中です。開発完了に伴い、Hー2Aは2024年度頃に退役する予定です。
H-2Aロケットの性能、及び類似ロケットの比較
機体名 | H-2A | H-2 | ファルコン9 |
---|---|---|---|
開発国 [運用主体] | 日本 [JAXA・三菱重工] | 日本 [NASDA・三菱重工] | アメリカ合衆国 [スペースX] |
運用状況 [運用期間] | 運用中 [2001年~] | 退役済 [1994年~1999年] | 運用中 [2010年~] |
燃料 | 液体水素 | 液体水素 | ケロシン |
直径/重量 | 4m/445トン | 4m/264トン | 3.7m/549トン |
打ち上げ費用 [推定値] | 80~120億円 | 190億円 | 6975万ドル |
成功率 | 97% [47回/48回] | 71% [5回/7回] | 99% [374回/377回] |
打ち上げ能力 [低軌道] |
10~15トン [高度300km] | 10トン [高度300km] | 22トン |
打ち上げ能力 [太陽同期軌道] |
3.6~4.4トン [高度800km] | 4トン [高度800km] | - |
打ち上げ能力 [静止遷移軌道] | 4~6トン | 3.8トン | 8.3トン |
備考 | 2023年01月時点 H-2A204型含む | 2024年10月時点のデータ スペックにファルコンヘビーのデータは含まれていません。 |