ZEROロケットゼロ
ZEROロケットとは
ZEROは「インターステラ・テクノロジズ」が開発中の小型液体ロケットです。インターステラテクノロジズは、エンジニア・ジャーナリスト・作家・投資家など様々な有志により創設された日本の宇宙開発ベンチャー企業です。これまで観測ロケット「MOMO」を開発・運用を成功させており、民間宇宙ベンチャーでは国内初、世界では4番目に液体ロケットによる宇宙空間到達を成し遂げています。
ZEROは低軌道打ち上げ能力150kgを目標に開発が進められていましたが、市場動向を鑑み低軌道に800kg・太陽同期軌道に250kgのペイロードを投入可能な仕様に変更されました。より正確には高度561km・軌道傾斜角42.2度の低軌道に800kgのペイロードを投入可能であり、大型化傾向にある衛星コンステに十分対応できる能力があると考えられます。
2026年頃からフルスケール試験の開始を予定しており、2027年頃のZERO初号機打ち上げを目指して開発が進められている模様です。
COSMOSエンジン
ZEROの特徴の1つとして、独自開発を進めている液化メタン(≒LNG)エンジンを全段に採用している事があります。この13トンの推力を持つエンジンはCOSMOS(コスモス)と呼ばれ、第1段ロケットに9基、第2ロケットに1基搭載されます。
Hー2A・H3ロケット等の燃料に使用されている液体水素と比較して、液化メタンは圧倒的に安価な燃料です。再使用性にも優れており、将来の発展性にも期待が持てます。燃料が低コストな他、コア技術の内製化・3Dプリンタの活用等々で、一回あたりの打ち上げ費用を8億円以下に抑える事を目標に開発が続けられています。
SBIRフェーズ3への採択
ZEROロケット開発事業は、経済産業省の中小企業イノベーション創出推進基金(SBIR)の民間ロケットの開発・実証事業に採択されており、これまでに66.3億円の資金交付が決定しています。これはインターステラテクノロジズの財務からすると極めて大きい金額で、企業評価額を増大させて民間からの資金調達も進みやすくなると考えられます。
同事業に同じく採択された将来宇宙輸送システム・スペースワンと共に、2026年1~3月頃のステージゲート審査への挑戦が予定されていますが、クリアすればさらに最大73.7億円を獲得する事ができます。これらの資金でZEROの開発が順調に進むことが期待されます。
北海道スペースポート
ZEROは北海道の太平洋沿岸にある大樹町、その海辺の宇宙港「北海道スペースポート」(略称:HOSPO)から打ち上げられます。HOSPOは宇宙版シリコンバレーを目指して順次拡大・整備中で、ZERO用の打ち上げ拠点「Launch Complex-1」が2025年度の完成を目指して建設中です。さらに年間50回の打ち上げが可能な「Launch Complex-2」の整備計画もあります。
北海道そして大樹町は宇宙開発振興にとても積極であり、ISTと連携して成長していくことが期待されています。
ZEROロケットの性能、及び類似ロケットとの比較
機体名 | ZERO | カイロス | イプシロン |
---|---|---|---|
開発国 [運用主体] | 日本 [インターステラ・テクノロジーズ] | 日本 [スペースワン] | 日本 [JAXA・IA] |
運用状況 [運用期間] | 開発中 | 開発中 | 運用中 [2013年~] |
燃料 | 液化メタン | 固体燃料 | 固体燃料 |
直径/重量 | 2.3m/71トン | 1.35m/23トン | 2.6m/95トン |
打ち上げ費用 [推定値] | 8億円 | 10億円(試験初号機) | 30億円~ |
成功率 | -% [0回/0回] | 0% [0回/1回] | 83% [5回/6回] |
打ち上げ能力 [低軌道] |
0.80トン | 0.24トン [高度300km] | 1.2トン~ [高度250×500km] |
打ち上げ能力 [太陽同期軌道] |
0.25トン | 0.15トン [高度500km] | 0.59トン [高度500km] |
打ち上げ能力 [静止遷移軌道] | - | - | - |
備考 | 2024年3月31日時点 打ち上げ能力は将来最大能力 | 2024年10月14日時点 |