ファルコン9Falcon-9
ファルコン9とは
ファルコン9は、アメリカの宇宙開発企業スペースX社が開発・運用している「再使用型ロケット」です。ファルコン9には2段式の大型液体ロケットで、日本の基幹ロケットである「Hー2A」以上の打ち上げ能力があります。さらに安全性も高く、有人ロケットとしても活用されています。
通常ロケットは使い切りで、使用後は大気圏で燃やす、或いは海没させて廃棄して使い捨てるのが一般的でした。しかしファルコン9は、それらの常識を破り1段ロケットを陸上ないし海上で回収・再利用する事によって打ち上げの低コスト化に実現しています。
再使用する事が必ずしも、低コスト化する事に成る訳ではありません。世界初の再使用型宇宙船「スペースシャトル」は再使用をする事で、低コスト運用を見込んでいました。しかし打ち上げる度にかかるメンテナンス費用等がかさみ、結局スペースシャトルは2011年に退役しました。
ファルコン9は再使用化する事以外にも様々な手段で低価格、高信頼性、高い打ち上げ能力を実現しています。2023年現在すでに200回近く打ち上げられ、人類の宇宙開発史上、最も優れたロケットと言っても過言ではありません。
スペースXとイーロン・マスク
ファルコン9を開発したスペースX社は、2002年にアメリカの大富豪「イーロン・マスク」氏によって起業されました。マスク氏は、1999年にオンライン銀行を創業し、2002年に売却。数百億円の資金を得た後、スペースX社を起業しました。マスク氏は他に、電気自動車メーカー「テスラ」を創業し世界最大級の自動車メーカーに成長させる事にも成功。さらに近年では「ツイッター」社も買収し、様々な分野に絶大な影響力を発揮し続けています。
スペースX社の基幹事業はファルコン9による打ち上げ事業ですが、他にもアメリカにとってスペースシャトル以来の有人宇宙船「ドラゴン」の開発・運用、数千機の通信衛星からなる「スターリンク」の構築にも成功。またファルコン9を超える超大型ロケット「スーパーヘビィ・スターシップ」の開発や、それによる火星植民も計画しています。これらは夢物語ではなく、スペースX社にはそれを実行できる能力があると考えられています。
ファルコン9ロケットの性能、及び類似ロケットとの比較
機体名 | ファルコン9 | H-2A | H3 |
---|---|---|---|
開発国 [運用主体] | アメリカ合衆国 [スペースX] | 日本 [JAXA・三菱重工] | 日本 [JAXA] |
運用状況 [運用期間] | 運用中 [2010年~] | 運用中 [2001年~] | 運用中 [2023年~] |
重量 | 549トン | 445トン | 422トン~574トン |
打ち上げ費用 [推定値] | 6700万ドル | 80~120億円 | 50億円~ |
成功率 | 99% [308回/310回] | 97% [47回/48回] | 66% [2回/3回] |
打ち上げ能力 [低軌道] |
16.8~22.トン | 10~15トン [高度300km] | - |
打ち上げ能力 [太陽同期軌道] |
- | 3.6~4.4トン [高度800km] | 4トン以上 [高度500km] |
打ち上げ能力 [静止遷移軌道] | 5.8~8.3トン | 4~6トン | 6.5トン以上 |
備考 | 2024年3月31日時点 ファルコンヘビーは含まない | 2023年01月時点 H-2A204型含む |