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民間SAR衛星Synthetic Aperture Radar

SAR衛星とは

地上を観測する衛星には大きく2つに分類されます。1つは可視光を撮影する光学衛星、これは要するにデジタルカメラです。もう1つは電波を使って撮影するSAR(サー)衛星です。このページでは後者のSAR衛星について説明しています。SARは合成開口レーダーとも呼ばれており、基本的に低軌道上に配備されます。

SAR衛星とは通常のカメラと違い、電波で対象を撮影する人工衛星で、雲を透過し悪天候時や夜間でも撮影可能な地上観測衛星の一種です。光学衛星と比較すると解像度が劣る分、常時観測可能な事が利点です。その為、地震・浸水被害・地盤沈下等の災害対策に大きく貢献しています。その他、防衛・安全保障面などでの利用も進んでいます。

誰がSAR衛星を運用しているか?

現在、日本国内で運用されているSAR衛星は15機~20機程あります。日本政府の情報収集衛星は光学衛星とSAR衛星、計10機前後で構成されています。これは事実上の軍事偵察衛星とされています。

他にJAXA(日本政府の宇宙開発機関)が大型SARだいち2号(ALOS-2)を運用している他、最近では民間の宇宙開発企業であるQPS研究所やSynspective社が小型SAR衛星を多数打ち上げ・運用しています。ちなみに、複数の衛星を協調動作して運用されるシステムを「衛星コンステレーション」と呼びます。

どんなSAR衛星は優れているのか?

SAR衛星の評価項目は色々ありますが、やはり重要なのは分解能です。どれくらい小さいな物を見分けられるか?という指標です。1mの分解能があれば、1m程度の物体がそこに存在するが分かります。解像度が高ければ高いほど、より小さなものが判別できます。

他にも撮影頻度やコスト等も、SAR衛星を評価する上で大変重要な項目です。衛星コンステレーションを構成している場合は、撮影頻度の向上が期待できます。

QPS研究所

QPS研究所は、九州発の宇宙開発ベンチャー企業です。QPS研究所は100~170kg前後の小型SAR衛星群QPS-SAR(キューピーエス・サー)を開発・運用しています。将来的にはSAR衛星36機による衛星コンステレーション構築を目指しており、完成時には地球のどの地点でも平均10分に1回撮影できる様になる見込みです。

2024年03月現在、試験機が2機(QPS-SAR1・2号機)、商用機が2機(QPS-SAR5・6号機)が軌道上に展開しています。3号機以降の商用機には、追加の太陽電池、バッテリー・衛星内画像処理装置・衛星間通信装置・軌道制御スラスターが追加搭載され、様々な機能向上が図られています。但し、3・4号機は打ち上げ失敗につき、喪失しています。

QPSは2023年12月に東証グロース市場に上場し、18号機までの資金を確保しています。さらにSAR衛星の年産4機体制から年産10機体制への拡張を計画しています。2024年5月までに7・8号機の打ち上げを予定しており、2028年5月までに24機体制の構築を目指しています。

Synspective

日本の宇宙開発ベンチャーSynspective(シンスペクティブ)社は、小型SAR衛星群StriX(ストリクス)を開発・運用しています。Synspective社は上場こそしてないものの、多数のベンチャーキャピタルから出資を受けており、2022年3月には出資・融資合わせて119億円を調達しています。

2024年03月現在、StriX-α・StriX-β・StriX-1・StriX-3の4機の打ち上げに成功し、内StriX-α以外の3機が運用されています。2020年代後半を目標に、30機体制の衛星コンステレーションを完成させ、高頻度観測体制の構築を目指しています。

またSynspective社は、撮影画像の解析・ソリューション事業を内製化しており、これはQPS研究所との大きな違いとなっています。

UPDATE:2024年4月1日

日本のSAR衛星比較

SAR衛星名 QPS-6号機 StriX-3 ALOS-2
運用 QPS研究所 Synspective JAXA
運用時期 2024年~ 2024年~ 2014年~
周波数 Xバンド Xバンド Lバンド
重量 170kg 100kg級 2,000kg
分解能/観測幅
[高精細モード]
0.46m/7km 0.9m/10km 1m×3m/25km
分解能/観測幅
[広域モード]
0.46m×1.8m/7km 2.6m×3.6m/10~30km 100m/350km

・JAXAのSAR衛星は単機で広範囲をカバーする事を目的としていますが、民間のQPS研究所・Synspectiveは小型・多数運用を前提とした衛星コンステレーションで運用されています。

参考ページ

宇宙探査機

人工衛星

宇宙船

宇宙ステーション