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新型宇宙ステーション補給機 HTV-Xエイチ・ティー・ブイ・エックス

HTV-Xとは?

HTV-Xは、日本の宇宙航空研究開発機構(通称:JAXA)が開発している新型宇宙ステーション補給機で、これまで使用されてきたHTV(通称:こうのとり)を発展・改良させた無人宇宙船です。

HTV-Xは2つの構成要素(モジュール)から出来ています。1つは与圧モジュール。これは実験機器や補給物資等を搭載し、ISSドッキング後は人間が宇宙服を着ず活動できるモジュールです。もう1つはサービスモジュール。このモジュールには、HTV-Xの通信・推進・電源・制御コンピュータが集約されています。この2つのモジュールはそれぞれ将来、単独運用できる様に設計されています。

主任務はHTVと同じく国際宇宙ステーション(通称:ISS)への補給ですが、様々な改良が施されています。まず物資輸送能力が4.7トンから5.8トンまで増強されています。これは世界各国で運用されているISS補給機の中でも、最大の輸送能力となります。また、地上での物資積込の利便性向上が図られています。

HTV-X初号機は2025年度にH3ロケットによって打ち上げられ、ISSへの物資補給を実施する予定です。

さらなるミッション

HTV-Xは、ISSの補給だけがミッションではありません。ISS補給・離脱後に、LNGエンジンの宇宙空間実証・月や火星を模擬した低重力実験・高度を上げての超小型衛星の放出、と様々な地球低軌道上ミッションが計画されています。

宇宙ステーションとのドッキング機能強化も予定されています。HTVではISSへドッキングする際、HTVがISS近傍に到着後、宇宙飛行士がロボットアームでHTVをISSへ手動でドッキングさせる方法を取っていました。HTV-Xでは手動方式に加えて、国際標準に合致した自動ドッキング技術の獲得を目指しています。自動ドッキング機能のテストはHTV-X2号機で行われる予定です。

また、サービスモジュールの真ん中には1m程のトンネルが空いています。これは将来、複数のHTV-Xを結合させて、ミニ宇宙ステーションを作る構想もある為です。HTV-Xは宇宙ステーションへ補給のみならず、将来の宇宙活動の為の様々な技術を獲得する事が期待されています。

ゲートウェイへの輸送ミッション HTV-XG

HTV-Xは、月軌道上に建設される月周回有人拠点(通称:ゲートウェイ)への物資補給も計画されています。これに使用されるHTV-Xは「HTV-XG」と呼ばれています。ゲートウェイはISSと違って、常時滞在している飛行士が居ません。その為、前述した国際標準の自動ドッキング機能を活用して、無人でのドッキングに挑みます。

なお、ゲートウェイはISSより遠い月軌道に存在する為、既存のH3ロケットでは巨大なHTV-XGを輸送する能力が不足しています。その為、現在は以下の3つの輸送方法が検討されています。

①H3ロケット能力向上型を開発して打ち上げ→月軌道へ
②米国の大型ロケットで打ち上げ→月軌道へ
③H3ロケット2機でHTV-XとOTV(軌道間輸送機)を打ち上げ→地球高軌道上でドッキング→月軌道へ

HTV-XGによるゲートウェイ補給ミッションは、2028年以降の予定となっています。

UPDATE:2024年4月20日

参考ページ

宇宙探査機

人工衛星

宇宙船

宇宙ステーション