地球観測衛星 その1[地球観測衛星の基本]Earth Observation Satellite
地球観測衛星とは何か?
地球観測衛星は高度数百km以上の地球上空から地表を撮影する人工衛星のことです。地球観測衛星は極めて高い高度から観測する事により、広い範囲を一度に観測する事が可能です。
従来、地球観測衛星の開発・運用は多額の費用が掛かる為、政府主体で大型衛星が単機で運用されていました。例えば、過去にJAXAが運用していた地球観測衛星だいち1号は重量4トンという大きさでしたが、現在は約70kg~200kgの小型衛星が実用化されており、民間企業により商用化が進んでいます。
どの様な地球観測衛星が優れているのか?
地球観測衛星を評価する項目は多数ありますが、まず重要なのは分解能です。どれくらい小さな物を見分けられるか?という指標です。1mの分解能があれば、1m程度の物体がそこに存在していることが分かります。分解能が高ければ高いほど、より小さなものが識別できます。(分解能1mは、分解能3mよりも分解能が高いと表現します)
他にも観測範囲・観測頻度・製造・運用コスト・可動率等も、地球観測衛星を評価する上で大変重要な項目です。最近では大型の人工衛星ではなく、「衛星コンステレーション」と呼ばれる複数の小型衛星を協調動作させて運用されるシステムを構築することが一般的です。衛星コンステレーションでは複数の人工衛星を分散配置することで、同一地点を高頻度で観測することができ、変化の検出や災害対応において大きな効果を発揮します。
地球観測衛星にどんな種類があるか?
地球観測衛星は大きく2つのタイプに分類されます。1つは可視光で地球を撮影する光学衛星、もう1つは電波を使って地球を撮影するSAR(サー)衛星です。このサイトでは次のページから順に、民間光学衛星・民間SAR衛星、最後に内閣府の情報収集衛星について解説していきます。
なおこのサイトでは解説していませんが、赤外線センサー衛星・ハイパースペクトルセンサー衛星・パッシブ電波観測衛星などの地球観測衛星も存在します。これらは前述した地球観測衛星と比較して打ち上げられた数は少ないものの、すでに実用化されています。(赤外線センサー衛星・ハイパースペクトルセンサー衛星は、広義の意味での光学衛星に含まれます)