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通信衛星コンステレーション・非地上系ネットワーク その2Communication Satellite Constellation : part2

KDDI

KDDIは国内2位の通信事業者です。KDDIは独自の非地上系ネットワークを有しておらず、最近まで独自の宇宙開発には消極的でしたが2024年05月、大企業とスタートアップとの連携による、宇宙分野の共創プログラム[MUGENLABO UNIVERSE]を開始しました。

その一環で、2028年頃に月-地球間通信の構築、2030年頃に月面モバイル通信の構築を目指す事が発表されました。現時点で詳細は不明ですが、KDDIの財務は健全かつ資金力は極めて大きい為、宇宙開発事業の拡大が期待されます。

ソフトバンク

ソフトバンクは国内3位の通信事業者です。非地上系ネットワークとしては、NTTと同じくHAPSによる通信ネットワーク構築に力を入れており、無人機Sunglider(サングライダー)を米AeroVironmentと共同開発しています。2026年頃にHAPSと地上局を中継する光通信衛星を打ち上げ・実証試験を実施する計画で、サービス開始は2027年頃を予定しています。なお、この光通信衛星はアークエッジスペース社が開発する予定です。

他にも、親会社のソフトバンクグループが10.9%出資している、ヨーロッパのユーテルサット社が展開している「低軌道衛星ネットワークOneWeb(ワンウェブ)」を活用したサービスを計画しています。ワンウェブは、高度1200km付近に数百機の通信衛星コンステレーションを構築済みであり、これらは携帯端末との直接通信ではなく、別途アンテナを必要とします。

また、ソフトバンクグループが出資している米Skylo-Technologiesと提携して、静止軌道上の衛星から地上のIOT端末の情報を収集するサービスが計画されています。

楽天

楽天グループは近年携帯通信事業に新規参入した情報通信企業です。楽天自体に衛星打ち上げ計画はありませんが、アメリカの衛星通信事業者AST-SpaceMobile社にマイノリティ出資しており、低軌道衛星ネットワークSpaceMobile(スペースモバイル)の提供を目指しています。

スペースモバイルの特徴は、通信衛星自体が巨大なアンテナを搭載する事により、地上の携帯端末と直接通信できる事です。これらの通信速度は一般的なモバイルネットワークと比較して低速ですが、地上基地局がない山間部や離島、災害時にもモバイル通信サービスが提供される事が期待できます。

2022年09月、64平方メートルもの巨大なアンテナが搭載された実証衛星ブルーウォーカー3が米ファルコン9ロケットで低軌道上に打ち上げられ、スマートフォンと衛星の直接通信に成功しました。2024年には、65平方メートルのアンテナを持つ商用衛星ブロック1ブルーバード5機を打ち上げる予定ですが、延期が繰り返され心配されています。

さらに、2025年頃には222平方メートルの巨大アンテナを持つブロック2ブルーバード衛星を打ち上げる計画もあり、将来的には数百機で構成される通信衛星コンステレーションにより、世界中でサービス提供が可能となる見込みです。

通信衛星の打ち上げ需要

通信衛星コンステレーションは多数の衛星を打ち上げる必要がある為、多数のロケットを必要とします。これらの打ち上げ需要を日本のロケットで獲得する事は、日本の宇宙開発にとても重要です。

スターリンク衛星は、自社のファルコン9ロケットで打ち上げていますので、これらを日本から打ち上げ事はまずありえません。現状の国内の通信衛星打ち上げ需要で最も有望視されるのは、スペースコンパスが構想中の低軌道衛星コンステレーションと考えられます。ワンウェブ・スペースモバイル・カイパーの打ち上げ需要は、H3ロケットが軌道に乗れば受注できる可能性はあります。

UPDATE:2024年8月31日

主な参考ページ

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